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教授挨拶

 徳島大学大学院医歯薬学研究部薬理学分野のホームページをご覧いただきありがとうございます。2020年8月より薬理学分野教授を拝命した池田康将です。本学薬理学は旧制徳島医学専門学校時代より設置されている伝統ある教室です。  

 簡単に自己紹介をいたします。私は本学を卒業後、母校の旧第一内科学(現 血液内分泌代謝内科学分野)に入局しました。関連病院で臨床研鑽を積み、卒後7年目で大学院に入学しました。それまで臨床しかしておらず基礎研究の経験は皆無でした。そのため当初、一刻も早く学位研究を済ませ博士号を取得して臨床に戻ることだけを考えていました(当時急速に進歩していた冠動脈インターベンション治療を極めることを本気で目指していました)。しかし、ご指導いただいた松本俊夫先生(元血液内分泌内科教授、現 徳島大学名誉教授)、粟飯原賢一先生(現 実践地域診療・医科学分野特任教授)、赤池雅史先生(現 医療教育学分野教授、前医学部長、現医歯薬学研究部長) のご指導のおかげもあり、基礎研究に興味が移ってしまいました。大学院を早期終了できましたが、そのまま研究員として研究を継続し、思ってもみなかった想定外の海外研究留学の機会を得ました。米国ボストン大学Ken Walsh Lab.はこれまでにも数多くの日本人が留学しており、数多くの教授を輩出しています(当大学循環器内科学分野教授の佐田政隆先生、愛媛大学医学部薬理学の茂木正樹先生もKen Lab.のOBです)。留学中は、臨床業務を全く気にせず研究に没頭できた日々は楽しくもあり、苦しくもありました。また、日本のみならず様々な国からの優秀な研究者と交流が出来て刺激になりました。日本では時間外呼び出しなどで落ち着きませんでしたが、留学中はそのようなこともなく、週末は家族との時間を大切に過ごしつつ貴重な海外生活を経験したことは今は良い思い出です(ラボメンバーの半数以上が日本人だったため英語は全く上達しなかったのは残念でしたが)。帰国直前に薬理学分野前教授 玉置俊晃先生に声をかけていただき、思い切って(せっかく海外留学したのでもう少し続けみようとあまり深く考えてではなかったですが)基礎系医学教室の薬理学分野に異動し、そのまま臨床に戻ることなく研究を継続しています(玉置先生も元々は泌尿器医でした)。この度、教授という重責を担うに当たり、これまで大変お世話になった玉置先生をはじめとする諸先輩方ならびに同僚に対しては感謝しかありません。今後もこれまでお世話になった方々への感謝の気持ちと尊敬の念を忘れずに、今何をすべきかを理解して、より良い研究、教育、また後進育成が出来るよう精進する所存です。

 研究について、臨床経験を活かし疾患病態に対する疑問を基にした仮説を大切にする医学研究を心掛けてきました。バックグラウンドの内科学、サブスペシャリティの循環器病学にとどまらず、糖尿病・代謝疾患、腎臓病にも関心を広げて病態の解明や治療につなげるための研究を行っています。現在は、必須微量金属栄養素である鉄の新たな病態生理学的意義や鉄制御による病態改善効果を明らかにして、治療標的としての鉄の新たな可能性について研究しています。また、医療情報データを用いた解析手法と従来の基礎研究手法を融合した研究も新たに開始しています。

 薬理学は21世紀に入ってからも分子標的薬、抗体医薬、がん免疫療法など様々な画期的新薬が登場しており、現在も発展を続けている学問です。これら新規の薬物は基礎研究で明らかにされた知見・成果を基にして開発につながりました。このことからも、新しい薬物や治療法の開発には、薬理学の基礎研究が非常に重要です。また医学教育について、薬理学は基礎医学と臨床医学との橋渡し的役割を担う重要な学問と位置づけられていることから、医学の体系的理解につながる教育を実践できるよう心がけています。

 徳島大学は医学部・歯学部・薬学部・医科栄養学科・保健学科ならびに病院という医療に関わる全ての組織・施設を有しており、かつ、伝統ある先端酵素学研究所もあり、それらが同じキャンパス内に存在するという、他講座との協力、連携が容易な非常に恵まれた環境にあります。加えて、地方大学にあっても研究マインド養成に注力している数少ない大学です。本教室では薬理学の観点から様々な疾患病態の解明を通じて、基礎研究からトランスレーショナルリサーチへの展開を目指して研究を進めています。経歴や年齢を問わず基礎研究に興味のある若手研究者、学生は気軽に連絡してください。この素晴らしい環境を活かして、新体制の薬理学で是非一緒に研究しましょう。

​(2020.8.1)

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